2016年12月8日木曜日

Luke Gibson ‎– Another Perfect Day


 Luke Gibson ‎– Another Perfect Day

True North Records ‎– TN 6
1971

大学生入学と同時にレコード・プレイヤーを手に入れてからは、午後の授業の前にレコード屋に足を運び、大きめのカバンに何枚かのレコードを携え、机に突っ伏しよくノートを
よだれで浸していた。それまでに買い貯めていた定番アルバムをレコードで買い直すのが常で、痛んだ盤がパチパチと音を立てれば立てる程に満足をした。3年からキャンパスが都内に変わり、都内のユニオン主要店舗の殆どが定期券内になり、それからはろくに授業も出ず、日が暮れるまであちこち餌箱漁りに明け暮れていた。

その頃、ちょうど熱を入れていたのがギター・マガジンで育った自分にとって全くの未開の地であった、Bob DylanやNeil Youngになれなかった星の数程いるアメリカとカナダのS.S.W.作品を集めることだった。当時はレココレやディスク・ガイド本も読んでいなかったので、ろくに知識もなかったが、試聴はせずにジャケットとクレジットに映る楽器編成なんかでこれだという物を吟味して買うのが常であった。The Floating House BandやJay Bolotin、Georgie Rizzoあたりの盤も、もちろん知っている人は当たり前に知っている名盤だけれど、そうやったたまたま出会うことになった。
以前ネットで読んだオブスキュア・フォークを気が狂ったかのように取り上げているブログの一文で"どうしても1人だけ顔も名前も思い出せない学生時代のクラスメイトのような..."というような締めの文章をふと思い出すが、きっとそうした音楽に熱を上げていたのは多分そんな所に、魅力という言葉はあまりしっくり来ないけれど、なんとなく儚さみたいなものは感じていたのだと思う。

ちょうどそんな頃に森は生きているというバンドを始めた。そして始めたばかりのバンドのコンテンツとして、専門的な知識はないけれどそういった音楽を何の気なしにブログで書き溜めていた。それをたまたま当時P-VINEにいたS崎氏が目にして(たしかHill,Barbata,Ethridgeの『L.A.Getaway』を紹介した写真の横にGellarsの『ガテマラ』が入り込んでいたやつ)バンドに声を掛けてくれたのだったと記憶している。


ざっと思い出話...特に何が言いたいとかいうわけでもなく、また自分の好きな音楽を集めてその時に思ったことを書き溜めておくと、あとあと読み返した時にちょっと笑えそうだなと思って、出来るだけコンスタントに貯められればと思い、またブログ機能に手を伸ばしてみることにした。一時は音楽好き、というのが逆にコンプレックスに思うこともあったが、正直いまはいろいろどうでもいいや。ブログなんてツールも時代遅れ感があって、ここまでザクザク書いてみてなんか楽しくもなってきた。

習慣的に書けるよう一回目からあまり入れ込み過ぎないように、と思いさらりと...


最近は、あらためて6、70年代のフォーク/S.S.W.作品を好んでよく聴くのだけれど、特にお気に入りなのが季節柄か、Bruce Cockburn、Tony Kosinecといった、ちょっと凍てついたヒヤリとした感触と、牧歌的な温い感じを兼ね備えたカナディアン・フォーク。ちなみに余談ですがBruce Cockburnは、あのECMからのリリースも決まりかけていたとかいなかったとか話がありますが、もしリリースが決まっていたら少なからずジャズのフォーク的な視点の在り方が今どうなっているのかとても興味深い所。

さて、今日は久しぶりに元気出るかなと思いレコードを散策しに出かけたのだけれど、以前から某珍屋で狙っていた1枚がまだあったので購入。

『Aoxomoxoa』あたりのGrateful Dead直系のサウンドを聴かせたカナダのサイケデリック・フォーク・バンドKensington Market(『Avenue Road』というアルバム、めちゃくちゃ良いのでおすすめです!)のギタリストだったLuke Gibsonのソロ唯一作。ちょうど16年にMapache Recordsからアナログ・リイシューされたので人気も高騰中?でしょうか。

オリジナルは、同じくカナダの名S.S.W. Murray McLauchlanのプロデューサーを務めるBernie Finkelsteinによって設立された、お馴染みTrue North Recordsからのリリース。

『雪の世界』の邦題でお馴染みの、Bruce Cockburn『High Winds White Sky』や『Salt, Sun And Time』と同じく、トロントのローカル・スタジオThunder Soundでの録音。どうでもいいけどAnthony Braxton『Trio And Duet』もここで録音された模様。割と天井の低そうなデッドな響きなのでちょっとした地下室か何かだったのかのと想像する。


1曲目の「Virginia」ピアノとギターの簡素なバッキングを中心に、複弦使いを多用したカントリー系のフィドルが入るものの、泥臭さの無い洗練されたアレンジに、渋みの少ない比較的さらりとした歌声はとても現代的に感じる。歌詞が付いてないので、外国語音痴の自分には皆目なにを歌っているのか分からないけれど、タイトルからホーボー的な事が歌われているのでしょうか。「Flow」後半のピアノのトリッキーなバッキングもなかなかオルタナティブ。エレキに持ち替えての「All Day Rain」はソウル・フィーリングも感じさせるが、やはり塩梅が絶妙でスワンプ特有の臭みみたいなものはなし。Sandro PerriのS.S.W.ワークスが好きな方なんかも、すんなり聴けるのではないでしょうか、、そんなことないか、、、

とまあ、ほんと日記程度に続けられればと思いまして。



A1 Virginia
A2 Hotel
A3 Windy Mountain
A4 Did You Ever
A5 Flow
A6 All Day Rain
B1 Full Moon Rider
B2 Lobo
B3 Another Perfect Day
B4 Angel
B5 See You Again

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