2017年5月10日水曜日

Stephen Whynott ‎– From Philly To Tablas


Stephen Whynott ‎– From Philly To Tablas

Music Is Medicine ‎– MIM 9001
1977


"As most things held so close it can not be recounted to anyone anytime. I know these songs hold the moment that for will never die."

裏表紙に、こんな言葉が記載されていました。言いたい事はフィーリングで分かるような気がするのですが、詩的なニュアンスみたいなのをどう汲むか上手く説明出来る英語が堪能な方いらしたら、コメント欄ででもご教示いただけると嬉しいです...


音楽という時間の経過を記録、そのまま時間場所を問わず再現出来るようになってからもう1世紀くらい経つのでしょうか。6,70年代には録音機材も庶民の手に届かなくもない所まできて、大きなレコード会社からのリリースではない作品も星の数ほど生まれています。
ビッグになりたい!そんな野心を抱えた作品、とにかくBob Dylanになりたかった、友達に配りたい、などなど、いろんな動機で作られた作品がありますが、どれもピュアな表現の音楽ばかりで、そんなレコードを好んで良く手にします。ローカルな6、70年代のフォークに相変わらず焦がれているのは、つまらない欲求や邪念、言ってしまえば大きくなり過ぎたビジネスとは作品自体が無縁に思えるからでしょうか。

そんな作品の中には、もちろん当時話題になってメジャー・レーベルとの契約に漕ぎ着けたもの、はたまた当時売れなくとも後の世代の感覚とマッチしてある時代からはクラシックとして語り継がれるような作品もあります。数十枚プレスしたけれど全く売れず、その苛立からほとんどをフリスビーにした後、叩き割ってしまった自主盤サイケの話もどこかで聞きましたが、その何枚かは市場に回ってたおかげで、後の世代がたまたま引き当てて"これはすごい!"という事になり、リイシューされたのだから、これはなかなかロマンティックな良い話です。

そんな時、誰かに創造れた音楽が、とりわけ記録されたレコードが死ぬ瞬間の事を考えたりもします。声の小さい、ナイーヴで、ピュアな愛すべき音楽たちの事が気がかりでしょうがありません。


音楽家が"このレコードは永遠に生き続ける事を確信している"なんて、レコードに記すのはとても美しいな、という事を言いたいだけです。実際、17年5月10日に、僕がターンテーブルの上に乗せました。



Stephen Whynottがいったい何者か、調べてもよく分かりませんでしたが、本作含め恐らく4枚のアルバムを制作しており、これが彼にとっての処女作のようです。

77年といえば、S.S.W.の時代はとうに終わり、ウエスト・コースト・ロックも瀕死、かつてメインストリームを賑わせた一発屋じゃない人たちの多くはA.O.R.かディスコに舵を切り、ロンドンではパンク全盛といった時代でしょうか。

Neil Youngの1stアルバムを思わせる、ウェルメイドなサイケデリック・フォークを基調に、ジャズ的な内省さを感じさせるリズム・セクション、オーボエやを用いたチェンバーなアンサンブル、そして霊性漂う研ぎすまされた音響感が織りなす、正に今聴きたいサイケデリック・フォークの名作といって差し支えない内容でしょう。時折聴かせる、ECMジャズとも、スピリチュアル・ジャズとも、アンビエントとも言える空間的な仕掛けに目を見張ります。録音はボストン。フィリーじゃないんかい。

このジャズ的なフィーリングに一役買っている、パーカッション・クレジットのRobert Pozarの存在は大きいように思えます。良くも悪くもクロスオーヴァー界のドンといったイメージのBob Jamesの初期のキャリアは、Mercuryからモーダルなジャズを出したり、ESPからエレクトリック・アコースティックなフリー・ジャズ出したりと、かなり実験的でハイセンスな作品が目立ちますが、そのころのBobのバンドでドラムを叩いていたのが、このRobert Pozarのようです。A4、A5の間ではつかの間の夢のように、突如バラフォンのトライヴァルなミニマル・パターンが現れます。Pearls Before Swineなんかもイメージすると分かりやすいですが、アコースティック・ギターをつま弾くイントロの上に、遠くからメディテーショナルな鈴の音が鳴る音楽はその後なにが始まろうとも受け入れたいと個人的思います。

ピアノはもちろん、オルガン、メロトロンも操るDan Fryeなる人物も良い仕事をしています。いわゆるS.S.W.の伴奏にくらべると、かなり抑制されたプレイで、絶妙なバランス感覚の持ち主のように感じます。彼がNeil Youngの初期作品におけるJack Nitzsche的な役割を果たしているのでしょう。オーボエでクレジットされているMichael Kamenは、あのMichael Kamenでしょうか。これまた興味深いです。

プロデュースはStephen Whynott本人と、ベーシスト/レコーディング・エンジニアとしてクレジットされているZed Mclarnonによるもの。ほほう、音響はミュージシャンによるものといわれると確か、楽器やアレンジの兼ね合いを把握しながら的確になされているように感じます。
ちなみに同レーベルからリリースされる次作は、Calico With Stephen Whynott名義となっておりZed Mclarnonはベースだけでなく、チェロやヴォーカルも披露している模様です。これは、気にして見ていますが見かけた事すらなく、いつか欲しい1枚です。

メロディー・メイカーとしては、Tim Buckleyのヒプノティックな雰囲気はそのままに、もっとメロウにしたような、Tony Kosinecにも近い万人受けしてもおかしくないような印象です。純粋にどの曲も素晴らしいです!


A1 Retreat Suite
A2 What Have You Seen
A3 Altitude
A4 Rain Swollen Highway
A5 Nine Day Sunflower
A6 Without Us
B1 Go Around
B2 Snows Edge
B3 Mexican Oil
B4 Oh Boy I've Won The Contest At Last



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